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2019年7月の発信
「能書きは引いてくれ」
●非正規雇用の涙
政権にとっては改元に10連休にトランプ訪日と3点セットで、またとない好機を演出した。しかし、長い連休は日給で働く非正規雇用には痛手である。
外交も頓挫している。北朝鮮はじめロシア、韓国、1ミリも進んでいない。中国とは好転しつつあるが、安倍外交の成果ではない。
これで新時代到来なんて口が裂けてもいえない。
●AIに勝つ亀甲占い
大嘗祭に使うコメをどこの産にするか亀の甲羅で占う。それで面目をほどこしたのが秋田県と京都府。その中でどの地域にするかでまたひと悶着ありそうだ。
AIだなんだと騒いでいても、われわれの精神はまだ古代のままだ。
AIの未来も亀甲で占うか?
●東京都の申し出
経済同友会に参加する会社に、東京都から申し出があった。
「オリンピック期間中はコピーをやめてください」
ごみが出て、その輸送車で道路が混むからだそうだ。呆れて開いた口がふさがらない。
家庭ごみにコンビニごみに工場ごみに、仕舞いに選手村ごみ……みんな止める気だろうか。
ふつうに暮らしているところにオリンピックというイベントが突然降って湧いてきたようなもので、何の勘違いをしているのか。
●ふるさと納税擁護論
ふるさと納税が投機性を帯び、行き過ぎているとして総務省が自治体に圧力をかけている。
地場産品を使うとか、調達価額は3割以下に抑えるなどの指針があったが、それは強制力のあるものではなかった。自治体はそこで知恵を絞ったわけで、いまさら蛇口を締める動きには反発も強い。
他県産品を買えば、その県の売上になる。税が集まったところは住民に還元し、消費が増える。割を食うところは、知恵を絞らざるをえなくなる。
ばら撒きに終わったふるさと創生1億円より絶対にましである。
●責任逃れ
日産、東芝に倣って、経営側の責任転嫁のために社外取締役の数を増やす動きが加速している。日本は株主のチェックも利かない。
これで上場企業の資格はありやなしや?
●香港、強し
香港はイギリスの統治を約150年受けて、西洋化が進んでいる。経済もものづくりではなく、金融で稼ぐ体質になっている。本土をセールス先として媚びを売る必要がない。
自由を守ろうと200万もの人が繰り出したのには、そういう自立した背景がありそうだ。
改めて、思う。香港、強し、と。
●岸恵子と草笛光子
岸恵子をテレビで見かけた。パリの家が400年と古く床が抜けたとか、日本でカード詐欺に遭いそうになったが、30万円の時計の代金だった。岸恵子も安く見られたものだ、
とかしゃべっていた。
この人は女優? タレント? ただのきれいな老女にしか見えない。
それに比べて草笛光子85歳。今でも脚を頭の高さに上げている。これって一体何の違いなんだろうと思う。
●初の国産ジェット機
かつてYS11という国産機が空を飛んでいた。その夢を40年ぶりに果たしたのが三菱航空機のMSJである。その優美な姿には、ゼロ戦などを作った先陣たちの思いが詰まって
いる。
世界はいまや小型機をめぐる争いが熾烈らしい。私はそんなことを忘れてただ、技術の継承の大切さに思いを致しただけだ。
●能書き
ある料理屋での風景である。料理の出てくる間が悪く、しかもそのあいだに店の女将がいろいろと調理法などの説明をする。最近、和洋食問わず経験することである。
かつて朝日新聞天声人語士が、いみじくも店主に言ったそうだ。
「勘定から能書き分は引いてくれ」
2019年10月の発信
世界水準記録
●品格を問う
河野外相が防衛相へと横滑りした。駐日韓国大使が徴用工問題で自国の立ち場を説明したところ、「極めて無礼だ」と難じた人である。
この調子で防衛問題も過激にやるのかと思うと、冷や汗が出る。大臣にはそれなりの品格が必要であろう。
大事がないことを望む。
●停電は人災
千葉県に大雨が降って、復旧に2週間以上要するという。温暖化で災害規模が大きくなっていることは確かである。
東電は福島原発の賠償問題などが重荷になって、老朽化した電柱などの補修予算を8割カット。まして地下埋設は20倍以上費用がかかるから、手をつけられない。
だから、今度の停電の長期化は人災、あるいは企業災ともいえるだろう。
●利権の巣窟
関電の経営陣は福井の地元有力者からリベートを貰い、露見するまで隠していた。
正月にはその有力者の家に詣でる車で渋滞が起きていたという。
原発、ダム、空港など巨大事業には、利権が発生し、顔役的な人間が暗躍する。
地元をなだめるのに都合がいいからである。
これから始まるIR誘致など、じっと注視していく必要がある。
●頭のいい子
警察が2度書類送検し(いずれも不起訴)、児相も虐待を承知しながら、結局、結愛ちゃんは殺された。
マスコミは両親を責めるが、警察と児相で止められなかったことを重く見るべきである。
それにしても5歳の女の子の遺した文章が悲痛である。
「いっしょうけんめいやってパパとママにみせるぞというきもちでやるぞ」
不謹慎かもしれないが、立派な文章である。きっと頭のいい子だったのだろう。
●道交法の改正を
危険な煽り運転を道交法では軽くしか処罰できない。そのために、暴行罪を適用する。
ドイツでは、裁判所が危険と判断すると生涯免許が剥奪される。イギリスの危険運転罪は、加害者を最大2年の拘束、最低1年間の免許没収という。
同法施行後、交通事故死が激減したという。
道路上のことは道路上の法律で。それが基本ではないだろうか。
●民生委員不足
老老介護という言葉があるが、高齢者や生活困窮者の手助けをする民生委員(約
23万人)も高齢化して、同じ状況になりつつある。
2015年でいえば、85%が60歳以上である。無償で、精神的負担も大きいという。
仮釈放の更生者を見守る保護司(約4万7千人)も同じく無償、高齢化で人手不足が心配されている。
どちらも有償化が検討されるべきではないか。働き方改革の一助にもなる。もう善意に頼るだけでは、早晩限界が来る。
●タフガイ
疑惑の韓国法相チョ・グク氏はタフである。記者会見を自ら望み約11時間にわたり記者達の質問を受けた。
さらに、国会の人事聴聞会では6時間の審議に耐えた。
さすがにこれだけやれば、大臣指名もありかな、という気がする。確かに「知らない」「分からない」が多かったようだが、それでも大したものである(後でどうひっくり返るか分からないが)。
日本の政治家でこれだけの胆力をもった人物がいるだろうか。
●世界水準記録
スポーツ大会で日本新が出て騒いでいるが、世界に出れば、予選落ちということがよくある。
サッカーなども前評判がよくて期待を煽られるが、いざとなると大したことがない、ということがよくある。
もう国内目線は止めたらどうだろうか。せめて日本新をいうときは、世界との差も一緒に示す習慣にしたらどうだろう。
高い目標は選手を伸ばすという。一考に値しないだろうか。
2020年1月15日発信
現代版ハーメルンの笛吹き男
●卑しい心
「桜を見る会」は1万8千人もひしめけば、招待客を見る会に近い。いや芸能人を見る会か?
頑張っている首相が千人、2千人呼んでなにが悪い、地元に貢献した人が呼ばれてなにが悪い、と擁護する向きがあるが、見当違いもはなはだしい。
国の行事を自分の選挙活動に使う。それは粗にして野であり、しかも卑である。
●大勲位
中曽根康弘氏が亡くなった。101歳だった。毀誉褒貶があろうが、国鉄民営化などの行政改革で見せた手腕は評価されてしかるべきだろう。
平成になって、天皇制について尋ねたところ、即座に「日本の安全装置」だと答えた。そこに私は平成天皇への思いがあると感じた。
● 50 代男性の逸脱
JR西日本の車掌さん50代が、契約社員で客室乗務員の女性30代をグリーン車に無賃乗車させていた。「話がしたかったから」というのが、その理由である。気持ちは痛
いほど分かるが、やり方が幼すぎた。
なぜだか、出会い系サイトで知り合った女性に金品を渡し、辞任に追い込まれた独身知事50代のことを思い出す。進退極まった哀れな動物のような顔をしていた。
●多重社外取締役
社外取締役のかけ持ちは、いくつまで可能か? 5つ? 7つ? 私は真剣にやると3つで手一杯だろうと思う。
ダメな会社は社長が最大のリスク要因である。社員は下を向いて何も言わない。
株主を代表している以上、社外取締役は嫌われて解任されても、言うべきことは言わないといけない。少なくとも私はそのつもりでやっている。
名誉と権威を並べて悦に入っている人間が実に多い。
●鬼畜
幼児虐待のニュースを見ると、ほぼ義理の父親によるものである。それに、たいてい若い。透けて見えてくるのは、シングルマザーの寄る辺ない姿である。それと、男の嫉妬である。子供を見るほどに、その前父の影がちらつく。
松本清張の「鬼畜」は、妻が夫に妾の子供を棄てろ、殺せ、とけしかける話である。実話だというが、清張さんなら最近の事件をどう取り上げたものだろうか。
●冥福を祈る
アフガンからアメリカ軍が引き払うということで、タリバン復活の動きがある。その最中に中村哲さんが殺された。
人々を餓死から救うには、まず水だ、ということで井戸掘りをしていた。首相は哀悼の意を表したが、事業継続のため、具体的な支援策を打ち出してほしい。
それが本当に彼の冥福を祈ることになるのではないだろうか。
●SNSが笛代わり
12歳の女の子がSNSで呼び出されて、大阪から栃木まで連れ出され、軟禁された。犯人の家には、もう一人中学生の少女がいたという。
まるで現代版ハーメルンの笛吹き男である。笛がSNSに変わり、昨年、18歳未満でSNS絡みの被害者は1800人超にのぼる。性的な被害も多いという。
親の目の届かないところで、子供たちが連れ去られる。現代版ハーメルンはかなり手ごわいと見ないとい
けない。
●社内英語放送
最近、にわかに英語による電車の車内放送が増えた。オリンピック対策が丸見えである。
JR東日本系はネイティブで、本格的な巻き舌である。JR東海、メトロは自前主義なのか、若い車掌の真摯な英語が聞ける。
ついでといってはなんだが、北京語にインドにハングルもベトナムもミャンマーもお願いしたい。ぐっと社内が華やいだ雰囲気になる。